なぜモラハラ的言動をするのか2~被害者が悪いことをしていないのに、なぜ、モラハラ的言動をするのか


それではなぜ、被害者が悪いことをしていないにもかかわらず、加害者は、モラハラ的言動をするのでしょうか。

以下の説明は、私の仮説ですが、多くのモラハラ被害者に話した結果、「そう考えるとモラハラ的言動の説明がつく」と納得してもらえたことから、事実を正確に説明できているのではないかと考えています。

多くのモラハラ事例を見て分析した結果、モラハラ加害者は、何らかのコンプレックスを心の奥底に抱えていて、それが原因でストレスを溜め込み、そのストレスを配偶者に対して吐き出しているだけである、つまり、被害者にはまったく原因がない、と私は考えています。

 

イメージで言うと、モラハラ加害者は、得体のしれない黒いモヤモヤした「ナニカ」を胸の中に溜め込んでおり、それをちょっとしたきっかけで妻に対して吐き出してスッキリする、ということを繰り返す、という状態です。

>>モラハラ夫・妻は外ではいい人で通っている

 

しかも、他人から見えない密室で(そとづらはよいという人が多いです)、主に、弱そうに見える妻に対してだけ、攻撃をします(妻は、実際に弱いからではなく、「手痛い反撃をしてこないように見える相手」だから標的にされます)。

モラハラ加害者自身、黒い「ナニカ」を溜め込んでいる自覚がなく、妻を苦しめている自覚もないので、吐き出してスッキリしたら、そこで加害者の中では完結します。

スッキリして気持ち良いから、同じことを繰り返します。

そこに建設的な意味などありません。

わかりやすく言えば、単なる八つ当たりです。

>>自覚なく人を傷つけることの恐ろしさ

悪いことをしていない妻に、黒い物を吐き出してスッキリするという不毛なことを繰り返すだけです。

>>ジャイアンとのび太の関係で考えるとモラハラ状況がわかりやすい

※ジャイアンが、「なんかムシャクシャする」と言ってのび太を殴るのと同じです。

のび太が殴られるほど悪いことをしたわけでもなく、のび太のことが嫌いなわけでもなく、単に「ムシャクシャする」というだけの理由で殴ります。

のび太以外の、出木杉君などは、殴られません。

なぜ殴られないかというと、悪いことをしてないからでも、嫌われてないからでもなく、「弱そうに見えない」からです(のび太も弱い人間ではありませんが、弱そうに見えるので、ジャイアンはのび太のことを軽く見ており、殴ることへの抵抗が少ない、殴りやすいのです)。

※ここで、黒い物を溜め込んでいると書きましたが、これはあくまで、「妻に原因がない」ということをわかりやすく表現するためのイメージです。

「溜め込んでいる」とすると、妻がいなくなったら他の人(例えば、夫のもとに残った子どもなど)に対して吐き出さずにはいられないように思われますが、そうではないようです。

「弱そうに見える」標的が周りにいなければ、モラハラ加害者は、必ずしも誰かを攻撃するわけではなく、攻撃せずにはいられないわけではないようです。

ただ、妻と同じような女性に出会うと、その女性に好意を寄せ、同じことを繰り返すことはあるようです。

実際、当事務所にも、ある離婚事件で相手方だったモラハラ夫がその後再婚した妻から相談を受けたことがあります。

そういう意味では、溜め込んでいるというよりは、「弱そうに見える」標的を目の前にした瞬間、スイッチが入り、黒い物が噴き出してくる、というイメージの方が正確かもしれません。

スイッチが入らなければ、必ずしも攻撃欲求が発動するわけではないということです。

 

ここで、イライラすることがあって、そのストレスを配偶者にぶつけるだけであれば、どの家庭にもあるのではないかとの指摘があり得ると思います(この一般的な感覚からの指摘が、被害者を一層苦しめることになるのですが)。

しかし、モラルハラスメントは、ストレスをぶつける際のキレ方の程度が異常に激しく、しかも反省することなく延々と繰り返されることで、被害者が、最終的には離婚したいと思うくらい苦しみ続ける、というところに問題があると考えます。

そのような異常なキレ方をするのは、やはり、通常の家庭とは違うと思います。

キレ方の程度の大きさ、継続性の高さが、通常の家庭と区別できる点だと思います。

健全な心の持ち主が、ちょっと嫌なことがあって八つ当たりするのとは、程度の激しさという点と、反省することなく延々と繰り返されるという点が、違うように思います。

そして、なぜそのような異常なキレ方をし、延々と繰り返すかというと、加害者は何らかのコンプレックスを心の奥底に抱えているという、根本的な原因があるように思えます。

具体的にどのようなコンプレックスを抱えているかは、加害者によって異なり、それが特定できない場合もありますが、被害者である相談者と話す中で、「それこそが、まさに、加害者のストレスを生み出している根本原因なのではないか」というコンプレックスを特定できる場合が多いです。

モラハラ加害者は、一見、コンプレックスなどなさそうな、成功しているように見える人が多いです。

また、モラハラ加害者は、「自分は仕事ができるんだ」というようなことを、被害者に対して自慢する(虚勢を張る)ことが多いので、被害者は、加害者のコンプレックスやストレスに気づかない場合も多いです。

しかし、一部の事例では、被害者が、加害者のコンプレックスやストレスを見抜いている場合があります。

また、私が指摘すると、「そう言われれば、思い当たる」と言う相談者も多いです。

>>モラハラチェックリスト



以上のとおり、モラハラ加害者は、心の奥底にコンプレックスを抱え、それを根本原因としてストレスを溜め込み、それを、家庭という密室で、反撃しないであろう配偶者に対して、激しく吐き出す、ということを、延々と繰り返しているのです。

ここで大事なことは、被害者はまったく悪くない、被害者には原因がない、ということです。


なお、コンプレックスが原因だとしても、加害者の言動が正当化されるわけではありません。

被害者を苦しめているわけですから、その点は正当化されることはありません。

モラハラ離婚の解決事例

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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)

当事務所は、離婚に特化し、離婚問題全般に力を入れていますが、中でも、モラルハラスメントの問題の解決に積極的に取り組んでいます。 離婚で相談にお越しになる方の中には、モラルハラスメントで苦しんでいる方が多くいらっしゃいますが、そのような方が、その苦しみから解放されて自由になるため、力になりたいと思っています。 当サイトにはじめてアクセスされた方はまずはこちらをお読みください。 弁護士紹介/ パートナーと離婚したい方へ/ パートナーに離婚したいと言われた方へ
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