双方に離婚意思があるが、条件が折り合わない方
目次
基本的な考え方
離婚を考えた時、おさえるべきポイントは8つです。
①離婚そのもの(離婚意思・離婚原因)、子どものこと(②親権、③養育費、④面会)、お金のこと(⑤財産分与、⑥慰謝料、⑦年金分割)、⑧婚姻費用です。
双方に離婚意思がある場合は、離婚そのものは問題になりませんので、残りの7つのことが問題になります。
子どもがいないか成人していれば、子どもに関する3点はなくなりますし、慰謝料は問題にならないケースもありますので、常に7つが問題になるわけではありません。
7つ以外にも細かい問題が発生することがありますが、細かい問題に意識を向け過ぎて、大局を見失わないことが大事です。
また、発生する多くの問題が、7つのうちどの問題なのかを分類することで、頭が整理されます。
最終的に、7つのポイントについての離婚条件を合意し、通常は合意書(離婚協議書、公正証書、調停調書)を作成することで、離婚の問題は決着します。
合意に至らなければ、通常は訴訟となります。訴訟でも、和解といって、話合いで解決することも多いです。和解できなければ、裁判所が判決で離婚条件を決めることになります。
常に、「7つのポイントが解決すれば離婚の問題は終わるんだ」と考え、そのゴールに向かっているという意識を持つことが、大事です。
具体的対応
1 親権について
親権について、本格的な争いになるケースは、あることはありますが、割合としては少ないです。
※共同親権の制度が始まれば、単独親権か共同親権かで争いになるケースが増えることが予想されます。
子どもが生まれた時から主に監護してきた方が親権を取得する場合が多いです。
これは、男女は問いませんが、日本では、それが妻であることが多いです。
親権が本格的な争いになる場合は、お金に変えられないものですので、他の争点がかすんでしまうほど、大きな争いになります。
親権を本格的に争う場合、裁判所での争いになると思いますので、弁護士をつけることが必須と言えるでしょう。
親権が本格的な争いになりそうな場合は、事前に弁護士に相談して、裁判所が親権についてどう判断するかの見通しを立てる必要があると思います。
相手が親権を主張したからといって、弁護士の目からすれば、相手が親権者になる可能性は低く、それほど脅威に感じないで済むケースもあります。
2 養育費について
養育費については、全国の裁判所で使われている算定表をもとに考えるのが基本です。
ただ、算定表からは、おおまかな金額しかわからないので、正確な金額を出すには、計算が必要になります。
また、相手が自営業の場合に申告書のうちのどの金額を算定表にあてはめるかなど、算定表の使い方そのものについても、専門家のアドバイスが必要な場合があります。
さらに、例えば、子どもが私立の学校に行っている場合に養育費が加算されるか、収入が算定表の上限である2000万円を超える場合にどう計算するか、子を夫婦それぞれが監護している場合にどう計算するかなど、算定表からはわからない問題もあります。
そういった問題に関しては、弁護士に相談し、適正な金額がいくらかを知ったうえで、最終的にいくらで合意するかを判断することが大事だと思います。
3 面会について
面会については、それほど問題にならないケースも多いですが、大きな争いになるケースもかなりあります。
面会は、お金の問題と違い、どっちかが勝てばどっちかが負けるというものではありません。
基本的に、子どものためにするものと考えられています。
どうするのが子どもにとって一番よいかを双方が考えるべきですが、夫婦間の感情的対立が深いと、正しい判断ができなくなるケースがあるようです。
対立が激しい場合は、調停での解決が有効なこともあります。
4 財産分与について
財産分与は、妻が専業主婦、もしくは収入が少ない場合でも、現在では、双方の財産を2分の1ずつ分けるのが基本と考えられています。
財産が預金だけであれば難しくないと思いますが、不動産があると、お金で分けられないので、どう分けるかが難しいケースもあります。
また、よくあるのは、不動産を買う時の頭金を、夫婦どちらかの親が出していたり、どちらかの婚姻前の預金から出していた場合に、分ける割合をどうするかという問題です。
これについては、まず、お金を出したことの立証が、非常に大事です。
そして、立証したうえで、割合をどうするかについて、計算が必要になります。
この計算は、弁護士でない者が正確にするのは困難と思われます。
財産分与では他に、相手の財産について、何があるかわからず、調査が必要になることがあります。
調査の方法として、弁護士会照会や裁判所の調査嘱託といった方法がありますが、弁護士会照会については弁護士でなければできず、調査嘱託も、弁護士に依頼せず自分でするのは困難と思われます。
さらに、退職金等、そもそも財産分与の対象になるのかが問題となるものもあります。
※現在の実務では、裁判所が退職金が財産分与の対象にならないと判断することはほとんどありません。
このように、財産分与は、離婚の条件のうち、もっとも複雑な問題になりやすい点です。
不動産がある場合や財産が多い場合は、弁護士に依頼する必要性が高いと考えられます。
5 慰謝料について
慰謝料は、主に、どちらかが不貞をした場合に問題になります。
不貞以外で慰謝料が問題になるのは、暴力や暴言だと思いますが、これについては、①「訴訟で判決になった時に裁判官が慰謝料を認めるか」という問題と、②「判決までいかずに合意(協議、調停、訴訟における和解)で離婚する場合に、慰謝料についてどのような合意をするか」という問題とを分けて考える必要があります。
ネットなどで出てくる、「モラハラで慰謝料をとれるか」「慰謝料の相場はいくらか」といった話は、主に①の問題だと思います。
ほとんどの離婚は合意で決着しますから、①についての見通しを踏まえて、②について最終的にどのような合意をするかを判断する必要があります。
6 婚姻費用について
婚姻費用については、養育費と同様に、算定表を基本に考えることになります。
算定表の使い方や、算定表からはわからない問題について、専門的知識が必要になることも、同様です。
婚姻費用については、別居後、離婚前の段階で問題となりますので、相手が任意に払わない場合に調停を申し立てるかといった点について、離婚協議の進み具合を踏まえて判断する必要があり、こういった点が、離婚の条件の一つである養育費の問題とは異なる点です。
弁護士に依頼していれば、婚姻費用調停の準備は数日でできますので、それを背景にして強気で交渉することができます。
7 年金分割について
年金分割については、どちらから求めた場合は、多くの離婚で、2分の1で決着しています。
これは、裁判所がそのように考えているからです。
当事務所では、依頼者が年金分割を希望している場合は、すべての案件で2分の1で解決しています。
最後に
以上のとおり、離婚で問題になるポイントを整理することが大事で、それぞれのポイントについて、専門家のサポートが必要になります。
当事務所では、多数の離婚事件を扱った経験から、ポイントを整理し、何が問題となるかを把握したうえで、資料を集める、調査する、相手と交渉する、調停・訴訟等の法的手続きを進めるといった点について、的確なサポートができますので、離婚を進める場合は、是非ご相談ください。
弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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