不動産収入があるときの養育費・婚姻費用
養育費や婚姻費用の支払義務者である夫(妻)が、給料を得ているのに加えて、マンション等の不動産を所有して賃料収入も得ている場合がありますが、養育費や婚姻費用をどのように算定すればよいでしょうか。
養育費や婚姻費用は、夫婦間や親子間の生活保持義務に基づいて支払われるものですから、給料であれ不動産収入であれ、収入すべての合計を基準として算定すべきです。
目次
給与収入と不動産収入(事業所得)を合算する方法
問題は合計の仕方です。
算定表は、給与収入の場合と事業所得の場合とで区別してあてはめるようにできています。
不動産収入は事業所得ですから、単純に給与収入と合算するだけではダメです。
事業所得を給与収入に換算するか、給与収入を事業所得に換算するかして、どちらか一方に揃える必要があります。
給与収入の方がメインの場合は給与収入に揃えるのが一般的です。
不動産収入を給与収入に換算する複雑な計算
不動産収入を給与収入に換算するには、事業所得としての総収入に社会保険料を加えたうえで(1-標準的な職業費の割合)で除する、という複雑な計算をする必要があります。
そして、事業所得としての総収入は、確定申告書の「課税される所得金額」とされていますが、「所得から差し引かれる金額」のうち「基礎控除」といった現実に支出されていない項目は加算する必要があります。
「所得から差し引かれる金額」の項目の多くが加算対象となるため、「課税される所得金額」に加算するという計算をするのは迂遠ということになり、結局、「所得金額」から社会保険料のみを控除して事業所得者の総収入を算出することになります。
さらに、青色申告特別控除や専従者給与も、現実に支出されていないので加算します。
また、減価償却費も、現実に支出がされていないとして加算することがありますが、減価償却費についてはより複雑な問題があり、単純に加算すればよいとは限りません。
専門知識の必要性と弁護士への依頼
このように、事業所得としての総収入を算出するには、確定申告書を詳細に読み込む必要があり、高度な専門的知識が必要となります。
こういった計算は、専門家である弁護士でなければ難しいので、弁護士に依頼する必要性が高いと言えます。
例えば、弁護士に依頼せず、青色申告特別控除の金額を加算せずに相手の収入を計算して婚姻費用を算出してしまえば、本来の金額より少なくなってしまい、損をしてしまいます。
こういった「知識不足のために損をする」ということは避けるべきです。
算定表を用いた簡便な換算方法
事業所得を給与収入に換算する(またはその逆の)計算をする際、簡便な方法として、算定表の縦軸・横軸に記載してある金額を利用する方法もあります。
算定表の縦軸・横軸には、給与収入と事業所得の金額が並べて記載されており、互いに対応する金額がわかるようになっていますから、これを使って互いに換算することが可能です。
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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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