面会交流

面会交流について

IMG_8822.JPG    離婚後、親権者または監護者にならなかった親が、子どもに面会したり、一緒に時間を過ごしたり、文通することを面会交流と言い、その権利を面会交流権と言います。
 
別居中の子どもに会う権利は当然あります。多いケースとしては、離婚の話し合いがこじれたまま妻が子どもを連れて実家へ帰ってしまっているとき、妻が夫に子どもを会わせないようにしているといった場合は、夫は家庭裁判所に面会交流の申立てをすることができます。
 
面会交流が認められる基準は、子どもの福祉に合致するかどうかです。会うことで子どもに悪影響があるような場合には、権利はあっても面会交流権が制限されます。
面会交流の制度は法律で定められておりませんが、最高裁は「父母の婚姻中は,父母が共同して親権を行い、親権者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うものであり(民法818条3項,820条)、婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面会交流することは、子の監護の一内容であるということができる。そして、別居状態にある父母の間で右面会交流につき協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法766条を類推適用し、家事審判法9条1項乙類4号により、右面会交流について相当な処分を命ずることができると解するのが相当である。」と判断しました(最高裁判所判決平成12年5月1日民集54巻5号1607頁)。

調停・審判・判決で面会交流が認められたにもかかわらず面会交流が行われない場合は、申立てにより、家庭裁判所による履行勧告(家事事件手続法75条)が可能です。
また、正当な理由なく面会交流を妨害する場合は民法709条に規定されている不法行為として慰謝料請求が認められる場合があります。
 

面会交流の制限は可能か?

面会交流を制限することができるかというご質問が多いです。答えは「できる」です。

相手が勝手に子どもと会ったり、子どもを連れ去ろうとしたりする場合は、面会交流権の制限を家庭裁判所に主張することができます。
 
面会の仕方によっては、子どもに動揺を与え、精神的不安を招くこともありえます。具体的な悪影響が出るような場合には、子どもがある年齢に達するまでの面接を禁止する、親権者または監護者同伴の場で会うなどの方法も考えられます。
 
子どもとの面接の際に復縁を迫ったり、金銭の無心をしたりするような場合には、面会交流権の濫用として、面会交流権の停止を家庭裁判所に主張することができます。
 

面会交流が制限される場合

1.非監護親(面会交流を求める親)に問題がある場合 

 *婚姻中に暴力をふるった
 *酒乱
 *面会交流のルール違反をした等
 

2.父母の対立が激しい場合

 *子どもを葛藤させ、精神不安定にするような場合
 

3.子どもの年齢が高い場合、子の意思が尊重される

思春期の子どもなど年齢的に非常に難しいときで、別れて暮らす親と会うことによって、その精神状態が動揺することが考えられるような場合、認められない可能性があります。
 

4.子どもを引き取って育てている親が再婚し、子どもが幼い場合 

子どもを引き取って育てている親が再婚し、子どもが幼い場合に、別れた親と会うことが子どもに逆に動揺を与えマイナスであるとの評価がされれば、面会交流が認められない可能性があります。

 

面会交流をする場合に記載する事項

面会交流をする場合には、条件を具体的に、詳細に決めておくことが可能です。ケースによっては、それをしておかないと、将来の争いのもとになることもあります。交流の結果は書面にしておきましょう。
 
・月に何回
・何時間
・宿泊してよいのか
・場所はどうするのか
・日時は誰がどうやって決めるのか
・電話や手紙、電子メールのやりとりを認めるのか
・どんな会わせ方をするのか
・学校行事へ参加できるのか
・子どもの意思をどうするのか
・子どもの受け渡しの方法
・変更する場合はどうするのか
・連絡方法はどうするのか 等
 
話し合いで決まらなければ、家庭裁判所へ子の監護に関する処分として面会交流の調停申立をします。調停が不成立であれば、手続きは審判に移行します。ただし、親であれば無制限に認められるという権利ではなく、子どもの福祉を害したり、子どもの意思に反する場合は、制限される場合があります。
 
一旦認められた面会交流も、子どもに悪影響を与えたり、子どものためにならないと認められる場合には、調停や審判によって、一時停止されたり、条件が変更されたりする場合があります。

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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)

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