離婚後、モラハラ夫に対して財産分与調停を起こし、財産分与として約630万円を受け取る内容の審判が成立した事例(埼玉県ふじみ野市)
性別 | 年齢 | 相手年齢 | 職業 | 相手職業 |
---|---|---|---|---|
女性 | 40代 | 40代 | 専業主婦 | 給与所得者 (会社員・公務員・パート・アルバイト等) |
離婚請求 | 同居中か別居中か | 原因 | 未成年の子ども | 手続き |
---|---|---|---|---|
求めた | 離婚後 |
モラルハラスメント・精神的虐待・暴言 | あり | 審判 |
争点 |
■財産分与 ・金融資産 (預貯金・保険・株式等) ・不動産 ■その他(年金分割) |
事案
ご依頼者(埼玉県ふじみ野市)は、離婚が成立した後、財産分与の相談で、横浜あおい法律事務所の無料相談にお越しになりました。
離婚を担当した別の弁護士は、「相手のモラハラがひどいので、財産分与を後回しにして離婚を先に成立させたほうがよい」とアドバイスし、離婚を先にすることになりました。
しかし私は、この弁護士の進め方は悪手だったと考えています。 事案によっては離婚を先にした方が良いケースももちろんありますが、本件は離婚を先にしたために、よりいっそう財産分与の話を進めることが困難になったと考えられます。
以上のような経緯で、財産分与調停を申し立てるところから、当職が受任しました。
解決
財産分与として約630万円を受け取る内容の審判が成立しました。
財産分与 | |
---|---|
弁護士介入前 | 提示なし |
弁護士介入後 |
約630万円を受け取る |
弁護士の視点
離婚後、時間が経っているためか、相手は財産分与に関心がなく、当初から消極的な姿勢で対応していました。 もし離婚が成立していなければ、相手にとっても、財産分与が終わらなければ離婚できず、再婚できない、と言った不利益が生じるので、財産分与に積極的に取り組まざるを得なくなります。
先に離婚を成立させるという別の弁護士の進め方を悪手だと考えるのは、それが理由です。
相手の姿勢が消極的な中、まず問題になったのは、相手の財産の開示です。 そこで、調査嘱託を効果的に使うことによって、相手のほぼすべての財産を開示することに成功しました。
※調査嘱託とは、調停等において、裁判所の権限を利用して、相手の財産等の資料を取り寄せる手続きです。
次に問題となったのは、別居時に存在していた依頼者の財産が特有財産であることの証明です。
依頼者には、祖母から相続した財産がありました。これが特有財産であれば、財産分与の対象から外れることになります。 特有財産であるという立証は、それを主張する側がしなければなりません。 つまり、立証できなければ負けてしまうという、厳しい戦いになります。
祖母からの相続から時間が経っており、相続した不動産からの賃料収入が預金となっていたり、その賃料収入で保険の保険料を払っていたりしたことから、お金の流れが非常に複雑で、特有財産性を立証するのが極めて困難な状況でした。
これを依頼者が残していた断片的な証拠から、お金の流れを解明し、しかもそれを裁判所に分かりやすく説明することで、特有財産性の立証に成功しました。
ここで、裁判所に分かりやすく説明することの重要性について説明します。
世間一般のイメージでは、裁判官はすごく頭が良く誠実な人格を持っていて、持っている証拠を提出し、事実をありのまま述べれば、裁判官のほうで事案を解明してくれる、というイメージを持っているかもしれません。
しかしそんなことは決してありません。
裁判官の人格についての言及は控えますが、少なくとも、裁判官は大量の事件を抱えているため、一件一件にかけられる時間が非常に少ないということは事実です。 そのため裁判官には、一読してわからない主張・立証は、採用するに値しない、という感覚があります。 そのため、複雑な事実を弁護士が解きほぐし、わかりやすく文章にし、的確な証拠を整理して、きれいな形で提出するということが重要になるのです。
本件では、モラハラ夫に苦しめられた依頼者が気の毒だったということもあり、こういった主張・立証にかなり長い時間をかけて取り組んだ結果、依頼者も大変満足する結果を得ることができました。
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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
当事務所は、離婚に特化し、離婚問題全般に力を入れていますが、中でも、モラルハラスメントの問題の解決に積極的に取り組んでいます。
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