婚姻費用について
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「別居を検討しているが、生活費が不安」
「夫の収入で生活していたので、別居後の生活維持がとても大変」といったご相談をよくいただきます。
離婚の協議中、調停中、訴訟中であったとしても、離婚が成立するまでは、夫婦はお互いが同程度の生活を続けられるように、お互いを扶養する義務があります。 |
目次
婚姻費用の算定
婚姻費用を払ってもらうためにはどうすべきか
婚姻費用の請求については調停一択
婚姻費用については、私が依頼を受けた場合は、請求したのに対し、すぐに請求金額を相手が支払った場合はそれでよいのですが、相手がすぐに支払わなかったり、金額を争ってきた場合は、相手との協議を継続するということはあまりせず、早期に調停を申し立てる場合が多いです。
その最大の理由は、裁判所の実務上の運用にあります。現在の裁判所の実務では、婚姻費用の金額が調停で決まった場合に、「調停申立時まで」さかのぼって支払う、という解釈・運用となっています。
例えば、7月に調停を申し立てて、10月に調停が成立すれば、7月までさかのぼってその金額を支払え、ということになります。これに対し、相手との話合いを継続しているうちに7月が過ぎてしまい、話合いが決裂してから8月に調停を申し立て、11月に調停が成立した場合、8月までしかさかのぼって支払えとはされません。つまり、話合いを先行したことにより、7月分を取りっぱぐれてしまうという問題があるのです。
ですから、早期に調停を申し立てた方がよいのです。私は、裁判所の現在の解釈・運用に、著しい問題があると考えています。
また、次のような問題もあります。
例えば、話合いで婚姻費用を10万円支払うと決まったとしても、途中で支払われなくなったり、支払いが遅れたり、10万円より少ない金額しか支払わなかったり、といったことが起こります。
すると、その段階で調停の申立てを検討することになりますが、最初から調停で決めてしまえば、いちいち、「今月は相手がちゃんと払ってくれるだろうか」と心配でしないで済みます。
以上のように、婚姻費用に関しては早期に調停を申し立てる選択をする場合が多いことから、弁護士をつけて弁護士のアドバイスにしたがった方がよいです。
調停成立後、相手が支払わなければ、強制執行ができる
調停で婚姻費用を決めた場合、相手が支払いを怠れば、相手の財産に対して強制執行ができます。相手の勤務先はわかっていますから、その給与を差し押さえることができます。
相手も、支払いを怠れば給与等の財産を差し押さえられることがわかっていますから、支払いを怠ることはしません。
私が関与した案件で、調停で決まった婚姻費用を回収できなかったことは、記憶にありません。
婚姻費用調停は早期に終わる
相談者の中には、裁判所に申し立てることに抵抗がある人がいます。しかし、婚姻費用調停は、他の離婚等の調停と比較して、早期に解決する場合が多いです。また、調停で話合いがつかない場合は、自動的に審判に移行し、裁判所が金額を決めてくれます。
ですから、相手がごねたために、ドロ沼化してしまうということが少ないです。
自分でやるのは、不利益を受けるリスクが大きい
婚姻費用調停を、専門家に依頼せず、ご自身でやるのは、不利益を受けるリスクが大きいと思います。
なぜかというと、調停委員は、一方が自らに有利な主張・立証をしない場合に、それを教えてくれるということは、基本的にしないからです。それは、相手との公平を考慮しているからであり、裁判所は、徹底して自己責任の世界です。
また、調停は、残念なことに、「声の大きい者に有利」という現実があります。
例えば、相手が、「そんなに払えねえよ!」などと声を荒げて主張した場合に、調停委員が、「あなたには払う義務があるから払いなさい!」と強い態度を示してくれることは期待できません。
そのうえ、調停委員は、「早く調停を成立させたい」という思いが非常に強いので、一方の声が大きい場合は、その言い分が必ずしも正しくなくても、もう一方に対して、「相手はこう言っているんですが、どうですか」と、譲歩を迫ることが、よくあります(まさかと思うかもしれませんが、事実です!私は、何件かそういうケースの相談を受けたことがあります。そういうことが起きる原因として、調停委員の知識不足もあるのではないかと思います)。
調停委員は、裁判官ではなく、あくまでも話合いを仲介しているだけの立場ですので、無理もありません。
ですから、婚姻費用調停の申立ては、専門家に依頼した方がよいです。
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