慰謝料について

  

慰謝料とは、不倫や暴力など相手方の有責行為によって精神的損害を受けたことに対する賠償金です。

 

不法行為に基づく損害賠償請求は、身体的損害、精神的損害、物的損害を含みますが、そのうちの精神的損害の賠償金を慰謝料と呼ぶということです。

では、どのような場合に慰謝料は認められるのでしょうか。

 

慰謝料はどのような場合に認められる?

慰謝料が認められるためには、相手方の行為が有責であることが前提となります。精神的苦痛を感じていても、相手方の行為が有責とは言えない場合、慰謝料は認められません。
 
不貞行為と呼ばれる不倫や暴力が有責行為の典型的な例です。単なる性格の不一致や価値観の違いでは、有責行為とは言えないことが多く、慰謝料請求できない場合がほとんどです。
 

◆慰謝料が認められるケース

○不貞
○配偶者に対する暴力行為
 

◆慰謝料が認められないケース

×性格の不一致
×価値観の違い
 
 

慰謝料はどれくらい請求できるのか?

精神的苦痛を客観的に算定するのは困難であり、明確な基準はありません。

  
算定に考慮される要素しては、
 ・離婚原因となった有責行為の程度
・精神的苦痛の程度
・婚姻期間
・未成年の子の有無
・請求者側の責任の有無や程度
 
といったものが挙げられます。
 

不貞慰謝料の相場 

不貞慰謝料の相場といっても、かなり幅があり、一概には言えませんが、これまでの私の経験から、大体の感覚を記しておくことは意味があると思われます。
まず、200万円を超えることはまれという印象です。
過去に、訴訟で200万円を超えたのは2回だけで、240万円と300万円でした。300万円の事案は、婚姻期間が40年以上の事案でした。240万円の方は、普通に仲良くしていた夫婦の妻に、某有名大学を卒業したばかりの若者が熱烈にアプローチして奪っていったというドラマのような事件で、夫の許せない気持ちが強く、和解で強気に交渉した結果240万円となりました。和解の最中、裁判官が「こんな高い慰謝料認めたことないよ」と発言したのをよく覚えています。
協議では、争いに巻き込まれたくない愛人が、請求金額をポンと支払う事例がまれにあり、350万円で合意したこともあります。
一般的には、婚姻関係が破綻に瀕しているか否かが大きな分かれ目で、破綻に瀕している場合は百数十万円から百万円台後半(最大二百万円)というイメージです。破綻に瀕してない場合は、五十万円から百万円台前半というイメージです。破綻に瀕していない場合で、交際もせず不貞の回数が少ないような事案では、50万円程度ということもあり得ます。200万円くらいもらえると思って訴訟すると大きく落胆することになります。

 

不貞以外の慰謝料の相場の有無と交渉における意味

モラハラやDVの慰謝料については、不貞と違って明確な相場というものがありません。程度が低ければ、慰謝料が認められないこともあり得ます。「加害行為がレベル1以下なら慰謝料なし、レベル2以上だと〇円、レベル3以上だと〇円」というような明確な相場感が、裁判官にもありませんし、弁護士や一般人にもありません。
ところで、慰謝料請求事案は、すべての事案について裁判官が判決で金額を決めるところまでいくわけではなく、むしろ判決まで進むのは少数です。それ以外は、協議、調停、訴訟上の和解という合意で決まるということです。相場がないことが、合意に至る交渉に大きな影響を及ぼします。どういうことか説明します。
不貞のように相場があり、弁護士はもちろん、一般人も、ネット等の情報である程度の相場を把握できる場合、慰謝料を請求された側は、交渉において、「このくらいの金額であれば払ってよいだろう」という判断が可能です。なぜ裁判所に支払いを命じられていないのに交渉で任意に支払うかというと、請求された側が、「訴訟で判決になったらこのくらいの金額を支払わされることになるだろう」と予測できるからです。「どうせ訴訟で支払わされることになるのであれば、早期に任意に支払って終わらせてしまった方がよい」と合理的に考えることが可能です。これが相場が交渉に与える影響というわけです。
これに対し、明確な相場がないと、請求された側が、「このくらいの金額であれば払ってよいだろう」という判断をするのが困難です。請求された側からすると、余程強い加害行為でなければ、判決では慰謝料がゼロになる可能性もあると考えるため、任意に支払うこと自体に躊躇が生じます。また、慰謝料が発生するだろうと思える程度の強い加害行為があった場合でも、いくら払ってよいのかの判断が困難ですので、金額を決めて任意に支払うことを躊躇します。このように、明確な相場があるかないかが、請求されて支払う側の判断に大きな影響を及ぼすということです。そのため、モラハラやDVの慰謝料請求の事案は、不貞の事案と比較して、交渉での解決が困難となります。
モラハラやDVの慰謝料請求が難しいと言われるのには、こういった理由もあるということです。決して、モラハラやDVの被害を裁判官や社会が軽視しているというわけではありません。

 

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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)

当事務所は、離婚に特化し、離婚問題全般に力を入れていますが、中でも、モラルハラスメントの問題の解決に積極的に取り組んでいます。 離婚で相談にお越しになる方の中には、モラルハラスメントで苦しんでいる方が多くいらっしゃいますが、そのような方が、その苦しみから解放されて自由になるため、力になりたいと思っています。 当サイトにはじめてアクセスされた方はまずはこちらをお読みください。 弁護士紹介/ パートナーと離婚したい方へ/ パートナーに離婚したいと言われた方へ
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