モラハラはなぜ解決が困難なのか
モラハラは、別居する以外に逃れる方法がなく、解決が困難と言われており、私も、不可能ではないが、困難だと考えています。
ここでいう解決とは、別居することなく、同居したまま、モラハラ的言動で被害者が苦しむことがなくなることを言います。
※ここで、「解決が不可能ではないが、困難」と記載しましたが、その後、さらに多くのモラハラ案件を経験した結果、「解決は不可能」だと考えるようになりました。
加害者に自覚がない以上、根本的解決は不可能だと思います。
キレたりする頻度が減ることはあり得ますが、「この先、モラハラ的言動が発生する可能性はゼロである」と言える状態になることは、あり得ないと考えます。
麻薬みたいですね。
モラハラ加害者にとっては、キレて妻より優位に立っていることを確認することは、気持ちいいことなのだと推測されます。
だからこそ、繰り返すのです。
だから、やめられないのです。
一緒に住んでいる限り、「妻を攻撃して気持ちよくなれるチャンス」が目の前に生じれば、その魅惑の薬物に手を出す、つまり、「キレる」ということが生じます。
この可能性をゼロにすることはできません。
ゼロにできない限り、妻が完全に相手を信頼して、安心して過ごせるという状態は、永遠に訪れません。
では、なぜモラハラは別居せずに解決することが困難なのでしょうか。
モラハラ被害者の多くは、ポジティブで建設的な考え方の持ち主が多いため、最初にモラハラ的言動が現れた時、自分(被害者)が努力してモラハラの原因を取り除くことで、状況を改善しよう、と考えます。
そして、モラハラ被害者からすれば、モラハラ加害者は自分(被害者)に対して不満を持っているように見えるので、モラハラ加害者が発した自分への不満を表明する言葉を真に受けて、その点を改善することで、モラハラ的言動をなくそうと努力します。
しかし、被害者がどんなに努力して改善を図っても、モラハラ加害者は、同じようにキレることを繰り返し、いつまで経っても改善しません。
相談に来る人の中には、同じような努力を何年にもわたって続けてきたという人もザラにいます。
なぜ、モラハラ被害者がいくら努力しても、モラハラ的言動はなくならないのでしょうか。
それは、モラハラ被害者に原因がないからです。
モラハラ被害者が客観的に悪いことをしていて、それを加害者が明確に認識しつつ、モラハラ被害者に対する不満を表明しているのであれば、加害者に自覚があるから、被害者が悪い点を改善すれば不満は解消されるし、キレて言い過ぎたことで被害者が傷つけば、加害者が反省することもあり得ます。
しかし、モラハラ被害者がまったく悪いことをせず、モラハラ被害者にまったく原因がないにもかかわらず、モラハラ加害者の中にあるストレスが原因で、被害者にキレているとすると、モラハラ被害者には、その原因を完全に取り除くことは、不可能です。
そして、モラハラ加害者自身も、自分の中に原因があることの自覚がまったくなく、さらには、被害者を苦しめているという自覚も少ないため、反省することもありません。
つまり、モラハラ的言動の原因が被害者にないため、被害者には、解決することが困難なのです。
また、加害者は、被害者に原因がない、被害者が悪いことをしていないのにモラハラ的言動をしているため、被害者を苦しめている認識、自覚が少ない場合が多く(まったくない人もいます)、自覚がないため、反省することがあり得ず、延々と繰り返す、ということです。
以上が、モラハラが、別居以外に解決が困難と言われるゆえんだと思います。
「自覚なく他人を苦しめる」ということが、いかに恐ろしいか、と思います。
自覚して他人を苦しめる方が、まだましです。
反省し、改善されることが期待できますから。
弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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