「離婚してもいいですか?翔子の場合」(漫画)野原広子
アマゾンで「モラハラ」で検索すると上位にでてくるので、思わず手にとって読みました。
モラハラ被害を受けている妻が主人公のエッセイ風漫画ですが、モラハラの実態を非常によく捉えていると思います。 絵も文章も読みやすいです。
以下、私の感想を書きますが、ネタバレを含みますので、ネタバレが嫌な人は、漫画を読んでから以下の文章を読むようにしてください。
特に、被害者である主人公の父親との葛藤、父親は謝ってくれて、心底嫌う対象にはならなかったという描写が、リアルに感じました。
ただ、この父親は、おそらく、家族をどれだけ苦しめているかを真に自覚してはいないと思いますが(笑)。
加害者である夫が、「あいつを見るといじめたくなる」という趣旨のことを考えるのですが、モラハラ加害者の心理の本質を突いていると思います。
ただ、実際は、このように自覚する加害者はいないはずです。
いじめてることを自覚していれば、解決の方向性も見えてくるのですが、まったく自覚してないから解決できないのです。
主人公はモラハラ被害にあっている状況を認識し、自立に向けて動くようになります。
そして、夫に対して「あんたなんかいらない!」と痰かをきるのですが、その場面にカタルシスを感じます。
このようなカタルシスを感じるのは、漫画ならではですね。
痰かをきり、ついに離婚して嫌な夫を切り捨てるのかと思ったら、離婚しないという結末でした。
夫も自覚して変わる様子が描かれてます。
これは、現実には起こり得ないのではないかと思いますね。
自覚せずにいじめ続けることこそがモラハラの本質ですから。
漫画ですので、掲載する媒体や編集者の意向といったものに左右され、リアルさだけを追及できなかったのかもしれません。
とはいえ、痰かをきる場面までは、リアルに描かれていますので、気軽な読み物としておすすめです。
弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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