別居するか否かも別居するか否かも離婚したい側がイニシアチブを持っている
モラハラ加害者に対して離婚を求めると、離婚に応じないという対応をとられることがあります。
まさにこれが、モラハラ被害者が恐れていることです。
相談にお越しになるモラハラ被害者の中には、離婚したいと思っていても、相手が離婚に応じず、「離婚するしない」で対立が生じることを非常に恐れている人が多いです。
しかし、離婚意思があれば、時間がかかってしまうことがあっても、離婚は必ずできます。
ということは、相手が離婚に応じないと言っても、それは、「離婚までにかかる時間」を左右するだけであって、「離婚するか否か」を左右するわけではないということです。
そういう意味では、離婚に関してイニシアチブをとっているのは,離婚に応じないと言っている側(モラハラ夫)ではなく、離婚を進めようとしている側であると言えます。
相手が応じなければ永久に離婚できないというのであれば、暗澹たる気持ちになると思いますが、そんなわけはなく、必ず離婚にはなるのです。
そして、別居して弁護士をつければ、意外に早く離婚に応じるというケースも多くあります。
このように、いずれは離婚になることを前提として、「離婚までの時間がどのくらいかかるか」だけが問題であることがわかります。
そして、離婚が決まるまで別居できない、というのであれば恐ろしいことですが、もちろん、そんなわけはありません。
別居は、いつでも自分が決めた時にできます。
この点でも、離婚を進めようとしている側がイニシアチブを持っていると言えます。
別居し、相手からの悪影響がかなり軽減された状態で、 「離婚までの時間がどのくらいかかるか」だけが問題になる、ということです。
言ってみれば、別居したら、その生活はそのまま、「夫とは無関係な、離婚後の未来」に直結しているのです。
こう考えたら、勇気がわいてきませんか?
前向きな気持ちになりませんか?
このように考えれば、「相手が離婚に応じないのではないか」と恐れることはありません。
別居するか否か、最終的に離婚するか否かは、離婚を進めたい側が決めることができる、イニシアチブを持っている、ということです。

弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)

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