モラハラ夫・妻とのコミュニケーションの取り方
モラハラ夫・妻に対しては、下手に出るのは避けた方がよいです。
日本人は、お互いが下手に出ることで、対人関係の摩擦を回避しようという美徳があると思います。
モラハラを受けてしまうような人は、特にこの傾向が強いです(それは、親から受け継いだものだったりします)。
これは、悪いことではなく、多くの場合は、対人関係を円滑にする効果があり、モラハラ夫・妻以外の人とのコミュニケーションはうまくいく場合が多いです。
しかし、モラハラ夫・妻に対しては、下手に出るコミュニケーションの取り方は、逆効果になることが多いです。
モラハラ夫・妻に対して下手に出ると、「やっぱり俺の方が正しいんだ」と思ってしまいます。
また、とにかく他人を攻撃することで自分のストレスを発散したいという心理状態にあるので、相手が下手に出ると、かさにかかって攻撃してくることが多いです。
モラハラ夫・妻に対しては、下手に出るよりも、毅然とした態度で相手の悪い行動を指摘した方がよいです。
ここで注意すべきは、相手が「自分が悪い」と認めることを期待しないことです。
モラハラ夫・妻は、「自分が悪い」と発想することがほぼ皆無ですから、期待しない方がよいです。
では、悪い行動を指摘することに意味がないかというと、そんなことはありません。
相手の攻撃に対して毅然としてやり返すことで、その後の攻撃を抑制する効果があるはずです。
また、正しいことを指摘するのに、意味があるとかないとかは問題ではありません。
「自分が悪くなく、相手が悪い」という客観的な状況を指摘することは、必要なことです。
モラハラを受けている人は、モラハラ夫・妻に対してそういった態度をとるのが怖いかもしれません。
実際、一時的には対立関係が生じます。
モラハラを受けている人は、他人と対立関係になるのが苦手で、それを避けるため、自分が悪くないとわかっていても謝ってしまう傾向にあります。
しかし、「自分は悪いことをしていない」と自分に言い聞かせ、一時的な対立関係をやり過ごすことを覚えた方がよいです。
まったく悪いことをしていないという客観的状況が前提ですし、モラハラ夫・妻は、モラハラを受けている人が悪いと思って攻撃しているのではなく、ストレスを発散したいだけですから、モラハラを受けている人が毅然とした態度をとったとしても、普段より特別に強くキレるということは、意外に少ないはずです。
このようにして、「自分は悪くないから毅然とした態度をとっても大丈夫である」ということがわかってくると、モラハラを受けている人の心にも余裕が出てきます。
そうなれば、モラハラ夫・妻から攻撃を受けても、「そもそも気にしない」ということができるかもしれません。
そのようになれば、仮に離婚の話を進めることになったとしても、相手からのコントロールを受けにくくなります。
弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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