人身保護法
離婚事件において、人身保護法という法律が問題になることがあります。
これは、裁判所による子の引き渡しの仮処分などに相手が従わないといった特殊なケースで問題になるもので、通常は問題になりません。
①子どもの身体の自由が拘束されていること(人身保護法2条1項)
②拘束が法律上正当な手続きによらないで行われていること(人身保護法1条、2条2項)
③拘束の違法性が顕著であること(人身保護法規則4条)
④他に救済の目的を達するのに適当な方法があるときは、その方法によって相当の期間内に救済の目的が達せられないことが明白であること(人身保護法規則4条ただし書)
これを受けて最高裁判所判決平成6年4月26日民集48巻3号835頁は「拘束者に対し、……幼児引渡しを命ずる仮処分又は審判が出され、その親権行使が実質上制限されているのに拘束者が右仮処分等に従わない場合」または、「拘束者の監護の下においては著しくその健康が損なわれたり、満足な義務教育を受けることができないなど、拘束者の幼児に対する処遇が親権行使という観点からみてもこれを容認することができないような例外的な場合」がこれにあたると判断しました。
これは、裁判所による子の引き渡しの仮処分などに相手が従わないといった特殊なケースで問題になるもので、通常は問題になりません。
人身保護法とは、不当に奪われている人身の自由を、司法裁判により、迅速、且つ、容易に回復せしめることを目的に制定された法律です(人身保護法1条)。
人身保護請求が認められるための要件は
①子どもの身体の自由が拘束されていること(人身保護法2条1項)
②拘束が法律上正当な手続きによらないで行われていること(人身保護法1条、2条2項)
③拘束の違法性が顕著であること(人身保護法規則4条)
④他に救済の目的を達するのに適当な方法があるときは、その方法によって相当の期間内に救済の目的が達せられないことが明白であること(人身保護法規則4条ただし書)
これらを満たすことが必要なので、子の監護に関する処分の調停・審判で事足りる場合は、人身保護請求は認められません。
最高裁判所判決平成5年10月19日民集47巻8号5099頁は③の要件を「拘束者が右幼児を監護することが子の幸福に反することが明白であることを要するものというべきである」と判断しました。
これを受けて最高裁判所判決平成6年4月26日民集48巻3号835頁は「拘束者に対し、……幼児引渡しを命ずる仮処分又は審判が出され、その親権行使が実質上制限されているのに拘束者が右仮処分等に従わない場合」または、「拘束者の監護の下においては著しくその健康が損なわれたり、満足な義務教育を受けることができないなど、拘束者の幼児に対する処遇が親権行使という観点からみてもこれを容認することができないような例外的な場合」がこれにあたると判断しました。
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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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