「他人を攻撃せずにはいられない人」片田珠美
精神科医が書いてるということで、読みました。
前半は、モラハラ加害者、被害者、モラハラ状況について、精神科医の視点から説明してあります。
一般的な説明がわかりやすく書かれてあるので、 モラハラについてこれから知ろうとしている人にとっては有用だと思います。
最後の章で、モラハラ加害者への対処の仕方が書かれています。
「できるだけ話さない」といった、一般的な対処方法が書かれていますので、有用だと思います。
ただ、この本だけでモラハラを深く理解したり、モラハラ加害者に対処できるかというと、難しいと思います。
分量も多くなく、軽く読めますので、モラハラについて概観するのによいと思います。
1点、「そうなのか!」と思わせる記述があり、さすが精神科医だと思いました。
それは、モラハラ被害者が罪悪感を抱きやすいのは、他人を幸せにも不幸にもする力が自分にはあると信じる万能感を被害者が持っているからだ、という記述です。
たしかにそうかもしれません。
モラハラ被害者は、真面目で、努力家で、ポジティブな人が多く、相手との関係や家庭を「改善」しようとしますが、そのような傾向が、罪悪感につながり、加害者に利用されるというのは、あり得ることだと思いました。
「自分には改善は無理」と開き直った方が、被害者は心が軽くなるだろうと思いました。
この見方については、まだ実際の案件で検証していないので、今後、依頼者である被害者の方の話を聞く中で意識していきたいと思います。
弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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