内縁・事実婚の解消

 内縁とは、事実上の夫婦共同生活があり、互いに結婚の意思はあっても、婚姻の届出がないため法律上は婚姻とはいえない関係を意味します。
 内縁関係を解消する際に、財産分与や慰謝料など、離婚と同じように法律上の手続が踏めるかが問題となります。

1、財産分与

 判例は、内縁関係解消の際に財産分与が認められるか否かについて、「財産分与は、婚姻の解消を契機としてなされるものではあっても、現に存した夫婦共同生活関係を最終的に規整するものともいうべく、かつこれによって直接第三者の権利に影響を及ぼすものではないから、内縁についても、これを認めるのが相当である」と判断しました。(広島高決昭和38年6月19日高民16巻4号265頁)。

 結婚し、配偶者がいる者が別の相手と内縁関係を持つ重婚的内縁の場合は、「事実上の夫婦としての実体が」長期間に及び、「しかも一方の(抗告人の)法律婚が全くの形がいと化している場合」に財産分与が肯定されました(大阪高決昭和57年4月5日家月35巻10号69頁)。

2、慰謝料

 最高裁は、「内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異るものではなく」「内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる」として、慰謝料請求を認めました(最高裁判所判決昭和33年4月11日民集12巻5号789頁)。

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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)

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