モラハラ被害者は精神的なゴミ箱にされているだけ~妻には原因がない
目次
1 悪いことをしていない妻を責めるのはなぜか
家庭内の夫婦間で起きているモラハラ状況は、妻が客観的には悪いことをしていないのに、夫が妻を責める、攻撃する、ということを繰り返す、という点が、通常の夫婦喧嘩と異なる異常な点です。
そして、もう一つの特異な点は、夫には妻を苦しめてる自覚がないという点です。
私は、この状況について説明する時、胸の中の黒い物を吐き出してるだけ、などと表現することが多いです。
ストレスを吐き出してスッキリしているだけとか、八つ当たりしているだけ、と表現することもあります。
この状況は、妻を精神的なゴミ箱にして、胸の中か脳の中のゴミを妻に対して捨てていると表現することができると思います。
夫は、妻に原因がない、妻や婚姻とはまったく無関係なところで、何らかの根本的なコンプレックスのようなものを抱えているように見えます。
これは、単なる思い付きではなく、多くのモラハラ案件を取扱い、分析する中で得た見方です。
夫が何を胸の中、あるいは脳の中に抱え込んでいるかは、解明する必要はありません。
問題は、客観的には妻に原因がないという点です。
とにかく、胸か脳の中に、何かを貯め込んでおり、それは、生育過程における家庭環境や、受験や就職といった競争の中で生じたコンプレックスのようなものだと私は推測しています。
他に、過去の事案において、モラハラ夫のコンプレックスと思われるもので多いものは、勤務先における評価や競争、兄弟との比較などがあります。
こういった、得体の知れない 胸か脳の中のゴミが、日常生活の中の何らかのことがスイッチとなって、夫の意識の上に現れることがあるのだと思います。
夫は、得体の知れないゴミを、そのままにしておくことができず、吐き出し、ゴミ箱に捨てる必要があります。
それが、妻を責めるという行為になって現れるのではないかと推測します。
ただ捨てるだけなら、本来、夫は、「おれにはこういうコンプレックスがあるんだ。それが、今回、このようなきっかけで、意識の上に現れたんだ。モヤモヤして、ストレスが溜まって、これを吐き出さないと気がすまない。他人を責めたい衝動が抑えられないんだ。でも、悪いことをしていない妻を責めるのは間違っている」などと、冷静に考えるべきで、それを冷静に誰か(友人や親、あるいはそれ以外の第三者)に話すといった形をとれば、ある程度スッキリするのではないかと思います。
しかし、このようにして、夫が、妻を責めることなく、モヤモヤを解消することは、あり得ません。
なぜなら、夫には、コンプレックスがあるという事実や、モヤモヤが生じたきっかけとなった出来事について、まったく自覚がないからです。
誰かを責めたい、という衝動だけが突如として胸か脳に生じるという状態となり、それを、他人から見られない家庭内という暗闇の中で、主に、妻に対して吐き出す、妻というゴミ箱に捨てる、ということが起きているのだと思います。
2 モラハラ夫は妻のことを嫌っているのか
ここで、疑問が生じます。
愛情をもって結婚した妻をゴミ箱にするなんてこと、普通できないのではないか、ということです。
モラハラ夫は、妻のことが嫌いなのではないか、ということです。
この点の結論ははっきりしていて、モラハラ夫は、妻を嫌いというわけではありません。
妻側は、夫から嫌われているから責められるんだと思い込んでいる人も多いですが、違います。
なぜ違うと言えるかというと、妻が弁護士を立てて離婚を求めた時に、夫の方は、離婚したくないという態度をとる人が圧倒的に多いからです。
3 ではなぜ攻撃される(ゴミ箱にされてしまう)のか
ではなぜ妻がなぜゴミ箱にされてしまうかというと、私は、妻が「弱そうに見える」からだと考えています。
実際に弱いわけではありません。
モラハラを受けている妻は、本来持っている客観的な人としての生きる力は、夫より強い人が多いです。
弱そうに「見える」だけです。
弱そうに見える、というのは、「悪いことしてないのに他人から責められると悪いような気がして謝ってしまう」「激しく反撃してこない」といった内罰的な性格のことを言います。
このような性格は、モラハラ加害者以外の人と接する時は、マイナスではありません。
人当たりがよい「いい人」と見られるので、人から好かれ、モラハラ加害者以外の人との人間関係はうまくいく場合が多いです。
客観的に弱いのではなく、単に弱そうに「見える」というだけで、夫の胸か脳の中の得体の知れないゴミを捨てるためのゴミ箱にされてしまっているということであり、妻が悪いことをしたということはまったくありません。
妻は悪いことをしたわけではなく、夫は、妻が嫌いだから責めるのではなく、弱そうに見えるから責めるのです。
ただ、悪いことをしていない妻を責めまくり、離婚を決意するまで追い込むことは、単純に「悪」ですから、夫が悪くないということにはなりません。
このような関係性では、離婚協議を対等に進めることは困難と言えます。
夫のモラハラで悩み、離婚を進めたいと考えている方は、当横浜あおい法律事務所の無料相談にお越しください。
弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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