養育費の問題
目次
養育費について
養育費とは、子どもが社会人として自立するまでに必要となる費用です。 衣食住の経費や教育費、医療費、娯楽費など、自立するまでに必要となるすべての費用が養育費にあたります。 期間の目安としては、成人する20歳や高校を卒業する18歳、大学を卒業する22歳までとなります。 |
養育費の算定
養育費の額は、負担する側の経済力や生活水準によって変わってきます。基本的には、双方の収入のバランスに応じて養育費を算定していきます。
財産分与や慰謝料は一括で支払うのが原則ですが、養育費は通常定期的に負担していきます。算定表が目安になります。養育費の額を決めるのは難しい問題ですが、具体的に決めておかないと後々トラブルになることもあります。
養育費の変更
養育費の支払いは、場合によっては長期間に及びます。その間に、事情が大きく変わることもあります。
例えば、子どもの進学の問題や、支払う側の失業、再婚、受け取る側の失業、再婚などがそれにあたります。基本的には、離婚時に決めた養育費の額や支払い期間を変更することはできません。しかし、上記のように経済的事情が大きく変化した場合には、養育費の増額や減額が認められることもあります。
養育費(扶養料)の請求方法
民法877条1項が「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と規定していることから、離婚後も父母は未成熟子を扶養する義務を負います。 扶養を請求する方法は2つあります。 1つ目は、子ども自らが扶養料を請求する方法です(扶養料請求、民法877条~880条、家事事件手続法別表Ⅱ9、同別表Ⅱ10)。
ただし、子どもが未成年の場合は、親権者が法定代理人として申し立てをします。 2つ目は、監護親が、子の監護に関する処分として、別居親に監護費用を請求する方法です(養育費請求、民法766条、家事事件手続法別表Ⅱ3)。
この2つ目が、離婚でよく問題になる、養育費の請求です。
養育費は、離婚事件においては、まず、毎月の金額をいくらにするかが問題になります。養育費の金額については、裁判所が算定表を発表しており、それを参考に決めることが多いです。養育費の金額について詳しくは、こちらをご覧ください。
養育費の金額などについて合意したら、それについて債務名義を作成することが重要です。債務名義とは、それがあれば養育費の支払いを強制できる、というもので、判決、調停調書などのほか、公正証書がこれに当たります。 不履行等があるときは、将来のものについても、給与等の差押えをすることができます(民事執行法151条の2)。給与等から税金その他を差し引いた残りの2分の1を差し押さえることができます(同152条3項)。
このほか、養育費に関しては、「履行勧告」というものがあります。家事事件手続法289条では、養育費の支払義務を定める審判をした家庭裁判所は、権利者の申出があるときは、その審判で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができるとされています。これは、調停で養育費の支払義務が定められた場合も同様です。
まずは、お互いに話し合い、合意が得られない場合には家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
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弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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