モラハラ夫・妻は悪人ではない
モラハラ夫・妻は悪人ではない
私は、モラハラを、社会的に大きな問題であり、解決すべきもの、なくすべきものと捉えていますが、モラハラ夫・妻を悪人とは考えていません。
問題なのは、「モラハラ状況」「モラハラ的行為」であって、モラハラ夫・妻自身ではないということです。
実際、家庭以外では、他人や社会に害悪を及ぼすような存在ではなく、悪人というわけではないと思います。
モラハラというのは、特定の相手との間で、家庭内という特殊な状況化においてのみ、生じるものなのです。
モラハラが起きるような「特定の状況」、その状況でなされた「モラハラ的行為」は、それによって苦しんでいるわけですから、「悪い」ものであり、離婚を決意するのに十分な理由になると思います。
しかし、その行為をしたモラハラ夫・妻自身は、「悪人」というわけではありません。
まさに、「罪を憎んで人を憎まず」です。
とはいっても、モラハラを受けている人にとっては、「モラハラ的行為」と、その行為をする相手の人格とを、切り離して考えることは難しく、モラハラ夫・妻自身の人格を悪く思ったり、憎しみに近い感情を抱いたりすることも多いようです。
モラハラを受けている人が味わった苦しみを思えば、それも仕方のないことだと思います。
ただ、モラハラ夫・妻には、相手を苦しめている自覚がない人が多いので、真に自分の問題点を認識して反省するということは、期待できません。
モラハラを受けている人にとって重要なのは、「モラハラ状況」から離れ、将来に向かって進むことであって、モラハラ夫・妻に対する恨みを晴らしたいと思うと、思うとおりにいかず、自分自身が苦しむことになるように思います。
離婚することになっても、一度は将来を誓い合った仲ですから、「悪人」と一緒になってしまったと捉えるのではなく、モラハラが起こる状況を解消するだけ、そこから、「ただ離れる」だけ、と捉えた方が、気持ちが楽になり、将来に向かって気持ちを切り替えやすいのではないかと思います。

弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)

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