モラハラが原因で別居を考えているが決意できない・進め方がわからない方
「別居」を現実的な選択肢として具体的に考えることがファーストステップ
別居・離婚を考えても、決意できずに、長い間悩み続ける人も多いと思います。
以下では、決意できない理由ごとに、その問題の捉え方と、別居に向けてどのような姿勢で考えればよいかを説明します。
決意できない理由1~相手が怖い
決意できない理由の一つとして、「別居すると、相手が何をするかわからず、怖い」というのがあるようです。
しかし、当事務所では、これまで、何十件というモラハラ案件を扱っていますが、別居後に相手が暴力的行為に及んでたいへんなことになった、といった事例は1件もありません。
ここに、モラハラ被害者が「すごく恐れていても、実際は恐れていたようなことは起きない」という、モラハラ被害者から見た景色と現実とのギャップがあります。
なぜこのようなギャップが生まれるかということは、モラハラの構造を理解するとよくわかります。
簡単に言えば、モラハラを受けている人は、悪いことをしているわけではなく、モラハラ夫・妻も、相手が憎くてモラハラ的言動をしているわけではないからです。
別居後、モラハラ夫・妻は、「状況を即座に理解して怒る」ということにはならず、最初は、「え?」みたいになり、相手が別居した現実が理解できない、受け入れられない、という状態になります。
いきなりキレて暴力的な行為に及ぶ、ということはありません。
>>ジャイアンとのび太の関係で考えるとモラハラ状況がわかりやすい
※このようなモラハラの構造からの説明は、簡単に説明するのは難しいので、詳しく知りたければご相談にお越しください。
ですから、別居したければすればよいのであって、相手を恐れて自分の自由を制限する必要はありません。
また、別居すれば必ず離婚になりますから、離婚後のことを見据え、前向きにポジティブに考えることをおすすめします。
別居に向けて、どこに住むか考えたり、仕事を増やしたりすることは、前向きな行動になりますから、そのような具体的な行動を計画することで、気持ちも前向きになると思います。
決意できない理由2~別居前に相手に話をするのが怖い
別居前に相手に話さなければならないと考えているが、それが怖くて、別居を決意できない人がいます。
または、別居前に相手に話さなければならないのか否かがわからず、決断を先延ばしにしてる人もいます。
この点については、「別居前に相手に話をすることなく別居をしている人は実際に多くいる」という事実をお伝えしておきます。
決意できない理由3~別居するほど深刻なことなのかわからない
モラハラは、普通の夫婦喧嘩とはまったく異なるものと考えています。
しかし、モラハラ被害者には、普通の夫婦喧嘩との違いを判断するのが難しいです。
この、普通の夫婦喧嘩との違いを判断するのが難しいことが、別居の決意を難しくしていると思います。
この、違いを判断するのを難しくしている(曇らせている)原因として、3つほど挙げられると思います。
・判断を曇らせている原因1
一つは、モラハラを受けやすい人は、我慢強く、「自分が悪いのかも」と思いやすい内罰的性格である点です。
このような内罰的性格は、まったく悪いものではなく、むしろ、自分が悪いと思って状況をよくしようというポジティブな面の現れですが、モラハラ夫・妻という一部の特殊な人達との組み合わせでは、モラハラ被害を受けやすくなってしまいます。
この性格のため、モラハラを受けている人は、「嫌だから別居しよう」と考えず、自分が我慢して何とか夫婦関係をよくしようという努力を続けますが(人によっては何年も!)、一向に改善せず、疲れ果ててしまう人がいます。
この自分の性格を自覚することで、正しい判断をしやすくなると思います。
・判断を曇らせている原因2
二つ目は、モラハラ夫・妻からの巧みな言葉によって、一種の洗脳のような状態におちいっている点です。
このため、「自分が悪いのかも」と思っている(思わされている)人がいます。
当事務所にご相談に来た方の中にも、「何年も自分が悪いと思い込んでいた」という方が多くいて、「友人の一言で自分がモラハラを受けていることに気付いた」といった方がいます。
一種の洗脳状態にあることを自覚することで、正しい判断を下すことができるようになると思います。
・判断を曇らせている原因3
三つ目は、「他人から理解されにくい」点です。
例えばママ友に夫のことを話しても、「うちの夫もそうよ」なんて言われて、そのママ友の愚痴が始まってしまったりして、「私のところだけが特別じゃないのか」などと思ってしまいます。
しかし、単なる夫の愚痴と、離婚するほど悩む深刻なモラハラとは、根本的に違います。
根本的に違うにもかかわらず、他人からは理解されにくいですから、他人の受け止め方から自分の状況を判断しない方がよいです(友達や家族の中には、「それ、モラハラだよ」と指摘してくれる、鋭く、優しい人もたまにいます)。
※なぜ他人から理解されにくいかについては、「なぜモラハラは他人から理解されにくいか~自分すら気付かない」をご参照ください。
以上のような理由で、深刻なモラハラを受けていても、「深刻なモラハラである」という判断をくだす自分の判断力自体が曇っている可能性があります。
ですから、ここで挙げた3つの理由が自分にあてはまっていないかを考え、あてはまっていれば、そういった自分の判断を曇らせる事由を排除して、「別居・離婚を決意するほど深刻なモラハラか」を判断するようにしてください。
問題を客観的に捉え、別居を現実的な選択肢として具体的に考える
以上、決意できない理由ごとに、その問題の捉え方と、別居に向けてどのような姿勢で考えればよいかをご説明しました。
以上の点を考慮し、別居を一つの現実的な選択肢として具体的に検討することが、ファーストステップだと思います。
検討した結果、別居を止めることはいつでもできますから、まずは、別居をすることを「現実的な」選択肢として「具体的に」考えてみて、「今のままの方がよいのか、別居した方が幸せになれるのか」を考えることが大事だと思います。
別居に向けた準備・段取り~専門家のサポートが有用
別居を決意したら、別居に向けた準備と、別居の段取りを決める必要があります。
別居先、別居時期を決める
まずは、何はともあれ、別居先を決め、いつ別居するかを決めることです。
物件情報を見るなどして、別居先を決める作業は、未来に向けた前向きな行動になるので、「どこに住もうかな♪」と楽しんで取り掛かれば、気持ちも前向きになると思います。
収入を増やすことを検討する
収入を増やせる人は、別居後の生活に向けて、増やすことを検討すべきです。
仕事というのは、単に収入を得るだけでなく、社会と関わりを持ち、自己実現にも資するものですから、収入を増やすための行動は、未来に向けた前向きな行動になります。
こういった行動を起こすことで、気持ちが前向きになっていくと思います。
この点、モラハラ夫の中には、妻が仕事を増やすことを嫌がる人がいます。
そのため、収入を増やす行動をとることを躊躇する人がいます。
しかし、別居を決意している以上、夫に気をつかう必要はまったくありません。
「自分がしたいことをする」のが大事です。
別居に向けた細かい準備事項と段取り~専門家のサポートが有用
この他、いざ別居するとなると、いろいろな細かい準備が必要になってきます。
当事務所では、多数の事例を扱った経験から、そういった細かい点一つひとつについて、「それは、こうすべき」と明確に答えることができます。
別居前に依頼しても、別居後に依頼しても、弁護士報酬は変わらないので、当事務所では、別居前からフルサポートプランで依頼することをおすすめしています。
最近は、別居前から依頼する人が増えています。
以下、別居に向けた細かい準備や、別居に向けた段取りについて、概要を説明します。
・別居に向けた準備
別居に向けた準備として、大きなものは、持ち出す物の選別、相手の財産・収入(不貞の証拠)の調査があります。
その他、別居後の生活費をどうするか検討する(婚姻費用の請求を含めて)、児童手当の受給権者の変更、自分の方でとれる財産資料として不動産の査定資料の取得、年金分割の情報通知書の取得といった点があります。
また、子どもの転校、住民票を移すか、郵便物の転送、といった点も考えておかなければなりません。
※婚姻費用の請求は、弁護士に依頼した方がよいです。
婚姻費用を請求する場合、相手に弁護士がついていなければ、早期に調停を起こした方がよいです。これは、簡単に説明すると、裁判所が「申立月までさかのぼって支払うべき」という立場をとっているからです。
そして、婚姻費用調停は、弁護士をつけないと、不利益を受ける可能性があります。これも簡単に説明すると、調停委員は味方してくれないからです。
この点について詳しくは「婚姻費用に関し弁護士をつけるべき理由」をご参照ください。
・別居に向けた段取り
別居に向けた段取りとして、事前に相手に話をするか、置手紙をするか、置手紙をするとしてどういった内容を書くか、弁護士をつけた場合は弁護士からの通知をいつ送るか、別居後の相手からの連絡にはどう対応するか、親や子への接触にはどう対応するか、別居後の住所を相手に伝えるかなど、考えておかなければいけないことが多くあります
以上の準備や段取りを、すべて一人で行うのは、たいへんですから、当事務所では、別居前からの相談・依頼をおすすめしています。
弁護士 松平幹生(神奈川県弁護士会所属)
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